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2013.06.21

ビジョン:2025年に持続可能な社会を実現する 21 Jun 2013 

 スウェーデン・デンマークで「何を見てきたか」についてまとめてみたいと思います。

 ひとつめは「ビジョン」の偉大さです。

 スウェーデンは2025年に持続可能な社会を実現するというビジョンに基いて、方針が決まっていきます。現在ではそれが下記のような「環境的な質に関する16分野の目標」として国民に共有されています。

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 下記の項目が上のアイコンに対応しています。

 ①気候への影響の低減
 ②清浄な大気
 ③自然現象以外の原因による酸性化の阻止
 ④毒性のない環境
 ⑤オゾン層の保護
 ⑥安全な放射線環境
 ⑦富栄養化の阻止
 ⑧湖、河川の生態系の繁栄
 ⑨良質な地下水
 ⑩バランスのとれた海洋環境、海岸地域および群島の生態系の繁栄
 ⑪湿地帯の生態系の繁栄
 ⑫持続可能な森林
 ⑬多様な農業地域の景色
 ⑭雄大な山岳地帯の景色
 ⑮良質につくられた環境
 ⑯動植物の営みの豊かな多様性
 参照:www.miljomal.se

 それぞれに数値目標が定められ毎年数値での政策の進捗が広報されます。環境教育は4才から始まり、環境意識の向上から現在でで資源のリサイクル率は98%(日本は約20%)となるように社会システムができています。ストックホルムのような都市も今回訪問した世界遺産に認定された中世都市ゴットランド島のビスビィも温水暖房システムがインフラとして地中に張り巡らされ、そこに自然エネルギーを取り入れ、化石燃料の消費をおさえる仕組みがあります。

 何を買っても食べても東京よりも高価(消費税25%・食料品は半分、ビッグマック指数はSWE 6.94USD、日本4.09USD)なのに、訪問したご家庭では光熱費が日本円で月3000円くらいと驚くほど抑えられていますが、すべては最上位概念のビジョンを共有し、そこから落とし込まれた16分野の目標があり、更にその時限のある数値目標から具体的な政策が決定されているわけです。

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 ストックホルムのこのビルは、ギネスブックに認定された世界最大の写真で有名(らしい)ですが、夏はバルト海から冷たい水を取り入れて空気を冷やしています。

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 長い冬の暖房の必要な期間は近くのストックホルム中央駅(2つ下の写真)から人間の発する熱を取り込んで空気を温めているそうです。このビルを案内してくれたのはこのビルに入居している新聞社の女性記者の方でしたが、この超省エネルギーシステムに対したいへん誇らしげな姿勢が印象的でした。

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 私達民間企業のメンバーは国家ビジョンを描く役割ではありません。従って国や町や国民のインフラや意識を延々と話題にするレイヤーにはいません。しかし持続可能社会のビジョンとそこにお客様の喜びを結びつけるための企業活動およびビジネスモデル描き、事業活動をそこに沿わせることはチャンスつまりはお客様が喜ぶことなのではないかと思うのです。

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 まずは、すべての企業活動の最上位概念に「持続可能社会の実現とお客様の喜び」を置き、すべてをそこから落とし込んでいく準備を始めることが必要だと思いました。
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持続可能建築建築の教科書のひとつ The Whole Building Handbook: How to Design Healthy, Efficient and Sustainable Buildings の著者であるVaris Bokalder先生(下の写真)の講義も受けました。持続可能社会実現という上位概念から建築や住宅が語られますので、熱交換などを含んだ省エネルギーシステムや健康のための内装材、廃棄とリサイクルを想定した建築材料選びの考え方、そしてその事例と経済的なメリットが自然に伝わってきます。

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 その後、最近建てられたパッシブハウスに訪問してきました。ハンガリー出身でパリで仕事をしていた夫婦が移り住んで建てた住宅でした。

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 ソーラー温熱器や熱交換システムなどの設備と採光や断熱、内装材・外装材といった建築技術、自然環境との共生という価値観の反映の調和がとれているのがわかります。

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 こうした実物を見ると The Whole Building Handbook: How to Design Healthy, Efficient and Sustainable Buildings のタイトルに表現されている真意が伝わってきます。

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 持続可能建築というのは自然環境だけではなく、年金・医療などの人間のシステムの持続可能性も考慮に入れたものであり、それは最上位概念とそこからブレークダウンされた「環境的な質に関する16分野の目標」から導き出されるのです。

2013 06 21 [小松の足跡~未来を見据えて~] | 固定リンク


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